資金決済法の情報

資金決済法の規則の枠組みを把握し、理解することで新たなビジネスチャンスが生まれる!

コインチェックに立ち入り

仮想通貨取引所「コインチェック」から580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が不正流出した問題で、金融庁は資金決済法に基づく立ち入り検査を実施する方針を固めたのだそうです。

顧客から預かる資金の管理や安全システムが十分だったかを確認するのだそうで、金融庁仮想通貨取引所へ立ち入り検査を行うのは今回が初めてのこととなります。 f:id:creditofactor:20180202111515j:plainインチェック側では、流出したNEMを預けていた全顧客約26万人に対し、流出発覚後の価格下落を反映した総額約460億円を自社の現預金で返金する方針を示していますが、一体どうなるのでしょうね。

現在は、原因を調査しており、何者かがコインチェックのメインウォレットに不正アクセスし、保管していた顧客のNEMを盗み出したのではないかと思われているようで、犯人の追跡が続けられているとともに、善意のハッカーNEM財団が共同となり、交換所で換金できないよう、盗まれたNEMを区別するための印をつける作業を続けているのだとか。

実際のところ、仮想通貨の技術的なシステムには問題はなくても、取引の安全性や犯罪に利用される可能性に関する問題は存在していますから、これからも十分に注意する必要があります。

前払式支払手段の要件

資金決済法における前払式支払手段の定義は以下のようになっています。

  1. 金額等の財産的価値が記載・記録されること(価値の保存)

  2. 金額・数量に応ずる対価を得て発行される証票等、番号、記号その他のものであること(対価の授受+支払手段の発行)

  3. 代価の弁済等に使用されること(権利行使)

1番については、支払手段として使用されるものである以上、カード、ICチップやサーバなどに金額が記載、または記録されることが必要であり、2番については、それ相応の対価を支払って優勝で得たものが前払式支払手段であり、無償で発行されたものについては、この定義に該当しません。

3番については、あくまで商品やサービスの対価の弁済に使用されるものだけを対象とするということで、当該証票を使用しなくても得られる商品やサービスは、規制の対象となりません。

具体的言えば、テレフォンカードや図書カードなどのプリペイドカード、商品券や電子マネーがこれに当ります。

それでは、巷では氾濫している「ポイント」は前払式支払手段に該当するのでしょうか??

これはなかなか難しい問題で、通常であれば前払式支払手段に該当しないと考えられています。

まぁ、これについては様々な意見があるので、資金決済法ではしっかりとした規制はされませんでしたが、その発行にあたって消費者が対価を負担しているかどうかポイントとなっており、対価性がある場合は、前払式支払手段としての取扱いを受けると解釈されています。

現在、私たちの暮らしには「ポイント」が溢れかえっていますが、法律においては、なかなか基準をつけにくいものなんですよね。

前払式証票規制法との違い

資金決済法第2章は、基本的には前払式証票規制法の内容をそのまま継承しています。

もともと資金決済法が制定される前には、プリペイドカードの発行者を規制するという目的で前払式証票規制法が定められていて、いやゆる「プリカ法」と呼ばれていました。

もっともこの「プリカ法」もプリペイドカードの利用拡大によって商品券取締法を修正する形で制定されていたもので、資金決済法の施行によって、前払式証票規制法は廃止となります。

主な変更点としては、これまでは規制対象外であったサーバ型の前払式支払手段も規制対象とする点、自家型発行者に対する立入検査などの監督規定の整備、事業廃止時の利用者への払い戻しの義務付けなどがあります。

ちなみに、法文上において「前払式証票」という名称は、「前払式支払手段」へと変更されています。

前払式支払手段の定義

・金額等の財産的価値が記載・記録されること ・金額・数量に応ずる対価を得て発行される証票等、番号、記号その他のものであること ・代価の弁済等に使用されること

これらすべてを満たすものが前払式支払手段に該当します。

資金決済に関する法律(平成二十一年六月二十四日法律第五十九号) 「第三条第五項」

(定義) 第三条  この章において「前払式支払手段」とは、次に掲げるものをいう。

一  証票、電子機器その他の物(以下この章において「証票等」という。)に記載され、又は電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。以下この項において同じ。)により記録される金額(金額を度その他の単位により換算して表示していると認められる場合の当該単位数を含む。以下この号及び第三項において同じ。)に応ずる対価を得て発行される証票等又は番号、記号その他の符号(電磁的方法により証票等に記録される金額に応ずる対価を得て当該金額の記録の加算が行われるものを含む。)であって、その発行する者又は当該発行する者が指定する者(次号において「発行者等」という。)から物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために提示、交付、通知その他の方法により使用することができるもの

二  証票等に記載され、又は電磁的方法により記録される物品又は役務の数量に応ずる対価を得て発行される証票等又は番号、記号その他の符号(電磁的方法により証票等に記録される物品又は役務の数量に応ずる対価を得て当該数量の記録の加算が行われるものを含む。)であって、発行者等に対して、提示、交付、通知その他の方法により、当該物品の給付又は当該役務の提供を請求することができるもの

どうしても法律用語で記載されていると、一体どんなものが該当するのかがわかりづらいので、以下に主な物を記載しておきます。

なお、ドリンク券に関しては、有効期限が発行から6ヶ月以内のものは該当しません。

一番わかりにくいものとしては「ポイント」で、通常であれば前払式支払手段に該当しないものとして考えられるのですが、ポイントの発行に関して利用者が対価を支払っている場合は、これに該当することになります。